保育士がこたえる子育てQ&A

1~2歳

Q

1歳の男の子です。
気に入らないことがあったり、思い通りにならなかったりすると、とても怒り、後ろに思いっきり倒れます。毎回後頭部をひどく打つのでとても心配です。どうしたら良いでしょう?

A

気に入らないことがあると、小さなお子さんが後ろに倒れて頭を打つたびに、心配されるお気持ち、とてもよく分かります。

子どもは1歳になると、自我の芽生えがあり、自己主張が出て、「これをやりたい」「これがほしい」等の気持ちが出てきます。しかし、言葉の発達は1歳児の思いに追いつかないところがあります。思いはあっても、言葉にできないもどかしさを、体をつかって示しているのでしょう。

思いどおりにならなかったことの原因がわかれば、「○○したかったのね。でも~だからできないよ」と気持ちを代弁し、受けとめ、やってよいことではないということを優しい言葉で簡潔に伝えることが大切だと思います。

そして、別の場所に連れて行ったり、関心の持てる別のものを提供したりして、気持ちの切り替えをしましょう。静かに落ち着いて対応してあげることが大切です。

3~4歳

Q

3歳の男の子のことです。
家で自分の要求を大声で泣いて訴え、こちらが応じるまで泣きやまず、1つ聞くと、次々とエスカレートしていき、私を困らせているとしか思えないのです。
ときどき、我慢の限界に達し、気持ちの行き場がなくどうしてよいかわかりません。
こんなにも手がかかる子どもだと、なにか「障がい」があるのではないかと心配しています。

A

3歳児という年齢からみても、まだまだお母さんにたくさん甘えたい時期です。

エスカレートする要求に、「この子は障害なのでは」と気にしてしまうほど、どうしたらよいか困っておられるようですね。まずは、子どもが要求を出せることは大切なことだと思うことです。子どもの甘えや要求を受け入れるなかで、泣かずに穏やかに話せる場面を少しずつつくってみてはいかがでしょうか。

そして、少しでも泣かずに要求できたときに、大げさでもよいのでしっかりと褒めることが大切です。泣いて訴えてきたときは、泣きやむまであやしながら待ったり、他に気が向くように誘いかけてみたりしてはいかがでしょうか。

なお、お母さんもゆっくり構えて「もう少しやさしく言ってくれたほうがうれしいな」など、お子さんが自分で感情を落ち着かせるような言葉がけや、「掃除が終わったら、今度は○○ちゃんと△△して遊ぶよ」と、お子さんが先の見通しを持てるようにすることもよいでしょう。

少し時間をおくことで、お母さんもスムーズにお子さんの気持ちを受け入れられるのではないでしょうか。また、一人で悩むのではなくて、保育所や地域の子育て支援センターへ気軽に相談してみてはいかがですか。

保育所や地域の子育て支援センターでは、他のお子さんの様子を観たり他のお母さんと話すこともできます。それでも、まだお子さんの育ちについて気になるようでしたら、次の段階として専門機関等に相談することも考えてみましょう。

お子さんとの良好な関係づくりを心から願っております。

Q

乗り物、特に電車が大好きで、毎日祖母がDVDを見せていたこともあり、いつの間にか種類を詳しく覚えていました。
しかし、同年齢児に比べると言葉が遅く、オウム返しが多く、質問内容も理解できていないことがあります。
乗り物好き等のこだわりも見られ、落ち着きがないことも心配です。

A

電車の名前を覚えたり、どんな種類かなども覚えてしまうほど電車が好きというだけでなく、ひとつのこだわりになったり、言葉や行動面でも同年齢児と比べ気になるということで心配されているようですね。

三歳児では、基本的な生活習慣が身につき、自分の思いや気づいたこと、感じたことを言葉で伝えるなど、徐々に自分なりの表現ができるようになっていきます。

また、友だち同士の関わり合いから、トラブルも発生しますが遊びも活発になります。

発達面で個人差はあると思いますが、絵本をじっくり読んであげたり、子どもが話を聞いてほしい時には決して急がせないで、ゆったりとした気持ちで耳を傾けましょう。

心配が続くようであれば、医師や専門機関などに相談されてはいかがでしょうか。3歳児検診が未だであれば、先ずはそちらで相談されるとよいでしょう。

Q

3歳5ヵ月の男の子です。
向かい合っても目線が合いません。食事や遊びでも一つのことに執着してしまい、同じものを食べ続けたり、同じもので遊び続けたりしています。また、言葉もあまり出てきません。
こうした状況から、何か障害があるのではと心配な毎日です。このままで大丈夫でしょうか。

A

お子さんの様子をとてもご心配されているようですね。

お子さんの年令からすると、言葉がうまく出ない、また目線が合わないということは、やはり少し気になります。

お一人で悩まずに、専門機関に相談されてみてはいかがでしょうか。お近くの保健所や児童相談所、市町村役場の保育や子育て支援課、福祉事務所の窓口も専門機関と連携しています。なかなか出向くのが難しいようでしたらお電話でも良いと思います。

障害等が疑われる場合には、なるべく早い段階で専門機関から支援を受けることが、その後の発達に大きな効果があるといわれています。また、障害がない場合でも、お子さんの成長とお母さんにとっての、良いアドバイス等が得られると思います。例えば、お子さんへのかかわり方の“コツ”などを知っていれば、お母さんやお父さんがイライラしたり、お子さんとのことでトラブルが発生したりすることが少なくなるでしょう。まず、相談してみてください。

Q

4歳の男の子です。
誰かに無理やり何かをさせられるのが嫌いなのか、周りの子どもたちと同じように外あそびを切り上げて家に帰ろうと誘っても、片付けを始めるように話しても、ことごとく拒否されてしまいます。
相手がお友だちだと言うことをきくことがありますが、どのように接したらよいか分からなくなるときがあります。

A

時間のないときや、次にやることがあるときなどは困ってしまいますね。声をかければかけるほど、よけい動かなくなったりしますよね。

誰かに何かを強要されるのが苦手なお子さんの行動を観察してみると、言葉をかけてから数分待っていると自分の意志であそびを切り上げたり、みんなと同じことをやろうとする姿が見受けられることがあります。

すぐに行動ができなくても、ゆったりと構えて少し待ってみることを試してみてはいかがでしょうか。案外、子どもはしっかりと大人の声かけを聞いていて内容を理解しているものです。 また、お子さんがちょっとでも見通しがもてるように、15分前か30分前に前もって予告してあげると良い結果が得られることがあります。

気が向かない様子やことごとく拒否することだけでなく、お母さん自身が他にも気にかかる行動などが目立つようでしたら、地域の子育て支援センターや保健所など、身近な機関で相談することもよいと思います。

この時期は子ども同士の関係が好きです。友だちの力を借りてみるのも一つの方法です。手をつないで一緒に帰ったり、片づけを手伝ってもらったりと、無理なく楽しく行動ができると思います。

5~6歳

Q

年長の女児です。
困ったことがあっても自分から言い出せず、だまりこんでしまいます。小学校へ行ったらもっといろんなことがあり、先生に気づいてもらえないこともあるのでとても心配しています。

A

保育所では保育士が常にそばにおり、お子さんが困っている場面もよく理解して助けてくれます。しかし、学校に行くと休み時間など、教師がそばにいない場面もたくさんあり、そんなときにお子さんがずっと困ったままでいると思うと心配ですね。 お子さんはどんなときに困っているか、よく観察してみてください。

課題を言われて理解できないのか、お友だちとのコミュニケーションで自分の意志が伝えにくいのかに分けて、考えてみましょう。

課題が理解できないのであれば、どこまで理解でき、どこからがわからないか、本人にも確認をしながら「ここがわからない」と言える力をつけていくことも大切です。もし言葉だけでイメージが持ちにくいなら、あらかじめ学校の先生にお子さんの様子を伝え、目で見て理解するほうがわかりやすい、といったことを伝えておくことも必要でしょう。

お友だちとのコミュニケーションで困る場合は、嫌なことを言われたりされたりして困っているのか、言いたいことがあるのにその言いたいことを言葉で表現できないのか、よく観察してください。そして、その場面に遭遇したときにお子さんの気持ちを「貸してほしかったのね」、「一緒にやりたかったのね」、「自分でやりたかったのね」などの言葉で伝えてあげてください。困った場面になると緊張の度合いが高まり、硬くなってしまうことも考えられますので、お子さんをぎゅっと抱きしめることでリラックスさせることも効果があることがあります。

どんなときでもお母さんはあなたの味方だよ、というメッセージを送り続けることも大事ですね。

Q

自閉症と診断された5歳の女の子です。
来年小学校に進学しますが、できるだけ地元の学校に行かせたいと思っています。最近は多動の面は少なくなくなってきましたが、時々パニックを起こすため困っています。他の子どもと人間関係を作ることが苦手なので、地域の学校に行くことが子どものためによいか考えてしまいます。

A

進学した後のことを考えると不安や心配が重なってきてしまうのでしょうね。

お子さんの今の状態を冷静に判断してもらえる専門機関等に家庭や保育所での様子を伝え、よく話し合って進路を決めていくことが良いでしょう。

無理をしすぎてしまうと、お子さんの負担にもなることもあります。一つひとつ丁寧にかかわれる環境をつくってあげることが成長につながると思います。

子どもたちの成長・発達段階は皆、同じではありません。それぞれの成長・発達を考えながら、共に育つ環境づくりができるよう、地域の小学校へも不安がらずに、何でも相談してみてはいかがでしょうか。

Q

5歳の男の子です。
集団行動に参加するのが苦手で、その場を突然離れるなど社会性に乏しい一面があります。 友だちと遊んでいて、気に入らないことがあると大声を出して怒り、衝動的に相手の子をけったり叩いたりしてトラブルになることがあります。
そして、その感情をおさえるのに時間がかかってしまいます。そのようなときにどのようにかかわったらよいのでしょうか。

A

お子さんが、自分の感情をコントロールできなかったり、周囲に「適応できないこと」を心配されているのですね。
とっさの出来事に大きな声を出して叱ってしまいそうですが、そんなときは何を言ってもお子さんの耳には届いていないと思います。まずはお子さんの気持ちを落ち着かせることが大切です。穏やかな表情でゆっくりと「どうしたの」と抱っこをしたりして、気持ちが落ち着くのを待つようにしてはいかがでしょうか。

お子さんは、いつも叱られたり非難されることが多くなっていませんか。「自分の思いをわかってくれている人がいる。」と、安心する気持ちがないと、人の言うことに耳を傾ける余裕ができません。できるだけ受け止めようとしているということが、さらにお子さんにわかるように接してあげてください。

また、訴えたいことがうまく伝えられず、お子さん自身もつらいのではないでしょうか。叩いたりする前に止めて、自分の気持ちを言葉で伝えることをわかりやすく話してあげてください。言葉でのやり取りを知らせながら、楽しく遊べた経験をすることで少しずつ友だちとの関わり方を身につけていくように思います。

どんな小さなことでも、我慢できたときにはしっかりと褒めてあげてください。褒められることで、自分を認めてもらえたという気持ちでうれしくなり、少しずつ相手のことも考えられるようになると思います。褒められる経験を多くさせてあげたいですね。

また、他にも気にかかる行動などが目立つようでしたら、地域の子育て支援センターや保健所など、身近な機関で相談することもよいと思います。

Q

5歳児の男の子です。
スーパーなどに行くと勝手に走って行ってしまい、すぐに迷子になってしまいます。手をつなぐことをとても嫌がり、振り払ってどこかへ行ってしまいます。親の姿が見えなくても平気で、店内を走り回ってしまします。どうしたら良いでしょうか。

A

スーパーなどは目に入る情報が多く、いろいろなことに興味を持つ年齢のお子さんにとっては、楽しくて興味のある物の方へ行きたくなってしまうのでしょうね。

買い物に行く前に手をつなぐことを約束したり、今日は何の目的で行くのか、どういう順番でお店をまわるのかを知らせておくと良いと思います。

手をつなぐのをどうしても嫌がるようでしたら、お店に着いたらすぐに買い物かごを持ってもらったり、かごが重くなったらかごの持ち手をひとつずつ親子で持ったり、子どもにも役割を与え、「最初はどこに行くんだった?」「何を買うんだった?」とお子さんに確認しながら買い物を楽しむようにしたらどうでしょうか。

何をするかのスケジュールが決まっていると比較的安定することも多くなります。お子さんと確認した予定は途中で変更しなくていいようにしておくことも大切ですね。

また、走りまわったり、大人の目の届かない所へ一人で行くということが、どのような危険につながるのか、他の人の迷惑になるのかということも少しずつ理解できるよう、親子で考えたり話し合うことも大切だと思いますよ。